2019年11月
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工事監理とは何か?施工管理との違いは?
設計事務所は建物を設計した後、工事の段階でも工事監理というもので建物に関わっていくが、工事監理とは何か。またどこまでが工事監理(設計事務所)の業務で、どこまでが施工管理(施工者)の業務なのか曖昧だ。そこで自分の勉強がてら工事監理業務についてまとめていきます。…
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凍結深度と凍上のメカニズムについて
目次
- 凍結深度とは何か?
- 凍結の恐ろしさ
- 凍上のメカニズム
- 凍上の対策
凍結深度とは何か?
凍結深度とは文字通り凍結の深さのこと。といってもいまいちよくわかりませんよね。
地中は温度が一定で、深さ10m程度になると温度は冬でも10℃前後となります。しかし、寒冷地では冬になると気温が0℃になり、表面から地面を冷やしていきます。そして地中の水分がマイナスに達すると凍ってしまいます。その地面が凍結する深さのことを言います。
また、一概に寒い地域ほど凍結深度が深いわけでもなく、実際には雪が積もると雪が断熱層となり、凍結深度が思ったより浅いこともあります。
各地域の凍結深度の目安は行政が出していることが多いですが、地元の工務店に聞くと、彼らは経験から把握しているのでより安全です。また、計算で求める方法もあります。凍結の恐ろしさ
なぜ寒冷地で凍結深度が重要かと言うと。凍結深度を考慮しないで建物や配管をすると大変なことになるからです。
詳しい原理は後述しますが、簡単に言うと、地面が凍ると水が氷になり、体積が増えて地面を押し上げます。これを「凍上」とか「凍み上がり」とか言いますが、そこに建物の基礎や配管があるとどうなるでしょうか。地面を押し上げる力はとても大きくて、建物が傾いたり、大切な基礎にヒビが入ったり、配管が破裂したりします。凍上のメカニズム
地下滞水などが毛細管現象で土粒子の隙間に吸い上げられ、凍結深度付近で凍結する。最初は上部の土の重さで横に広がった状態で凍結し、氷結晶となる。水分の供給が十分にある場合、これが繰り返されることで、氷結晶は成長し、アイスレンズと呼ばれる氷塊層となる。
ところで、水が凍結してもその体積膨張は約9%なので、土中の水がその場で凍るだけなら深刻な隆起は発生しない。しかし、アイスレンズが発達して分厚くなると上部の拘束力が低い方向へ押し上げて、地表面を隆起させる。これが凍上のメカニズムです。凍上の対策
これまでの説明で分かることは、凍上は温度・土質・水の3条件が同時に揃った場合に生じるということです。逆に、これらの条件を一つでも除去、改善できれば、凍上を抑止することができます。
では実際に基礎や配管が凍上被害を受けないようにするにはどうすればいいのか。いくつか例をあげると、- 凍結深度より深く設置する
- 凍結深度以上の土を水が入らない、または水はけのよいものに置換する
- 土中の水分に冷気が伝わらないようにする
などがあります。
それぞれの具体的な方法は別の機会にまとめたいと思います。凍上についてはよく理解して対策をしないと、重大な事故に繋がったり、逆に過剰な設計となり、工事費が跳ね上がったりするので注意が必要です。私もさらに知識を深めていいものを作っていきたいです。…
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やなぎみわ展 神話機械@神奈川県民ホール レビュー
やなぎみわ展 神話機械を観に神奈川県民ホールに行ってきたので感想を書いていきます!…
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Architecten de vylder vinck taillieu 展 @TOTOギャラリー・間 レビュー
Architecten de vylder vinck taillieu 展に行ってきたので、感想を書いていきます!
Information
展覧会名(日)
https://jp.toto.com/gallerma/ex190913/index.htm
アーキテクテン・デ・ヴィルダー・ヴィンク・タユー展 ヴァリエテ/アーキテクチャー/ディザイア
展覧会名(欧)
architecten de vylder vinck taillieu: VARIETE / ARCHITECTURE / DESIRE
会期
2019年9月13日(金)~11月24日(日)
開館時間
11:00~18:00休館日月曜・祝日 ただし11月3日(日・祝)、11月23日(土・祝)は開館
入場料
無料
会場
TOTOギャラリー・間
〒107-0062 東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F
東京メトロ千代田線乃木坂駅3番出口徒歩1分
TEL=03-3402-1010 URL=https://jp.toto.com/gallerma所要時間は約70分です。
私は、自分で直接空間を体験したもの以外、興味を持ちにくいこともあり、海外の建築家は疎く、恥ずかしながら初めて名前を認識した建築家でしたが、展示を観て、いくつかの作品は写真などで見たことがありました。それもそのはず、2018年のベネチア・ビエンナーレ国際建築展で銀獅子賞を受賞している建築家ユニットなんですね。
…TOTOギャラリー・間では、ベルギーのゲントを拠点に活動し、世界的な注目を集めつつある建築家ユニット
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加藤泉_LIKE A ROLLING SNOWBALL @原美術館 レビュー
原美術館と別館のハラ ミュージアム アークで同時開催されている。加藤泉氏の展覧会「LIKE A ROLLING SNOWBALL」の原美術館の方を観に行ったのでレビューを書いていきます!
原美術館は2020年12月に閉館を予定しているため、今後の展覧会もできるだけ観に行きたいですね。
2つの館で同時開催するのは、この展覧会が初めてのこと。原美術館では最新作の64点、ハラ ミュージアム アークでは、その軌跡を振り返る145点が展示されている。
図録にはロバート ストーとの対話やインタビューなども掲載されており、これがおもしろい!どちらかの美術館に行ったら図録を買って、読んでからもう片方の美術館にいくとより理解が深まると思う。
作品の置き方も加藤氏自ら「絵を描くように作品を設置」しており、「観るリズムみたいなものはすごく考える」という、作品との出会い方も見所だ。
(加藤泉とロバート ストーの対話「加藤泉–LIKE A ROLLING SNOWBALL」図録 より)
Information
…会期
ハラ ミュージアム アーク 2019 年 7 ⽉ 13 ⽇[⼟]- 2020 年 1 ⽉ 13 ⽇[⽉・祝]
原美術館 2019 年 8 -
フラット35とは何か?ローンから技術的基準の概要まで
目次
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フラット35とは?
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フラット35とは住宅ローンの中の一つ
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ローンの金利タイプ
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その他メリット
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物件審査(新築の場合)
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技術基準(新築の場合)
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フラット35の種類
1.フラット35とは?
住宅の購入や新築、建築家などがよく目にする「フラット35」。施主側にとってはローンの内のひとつ。建築家にとっては建物に色々と縛りがでてくるやつという印象があります。
しかし、知っているようで意外と知らないことが多い、そんなフラット35について分かりやすくまとめてみたいと思います。
2.フラット35とは住宅ローンの中の一つ
【フラット35】は、全国300以上の金融機関が住宅金融支援機構と提携して扱う「全期間固定金利型住宅ローン」です。
フラット35 HP よりフラット35のホームページを調べると上のように説明があります。
そもそもフラット35とはローン商品の中の一つの名称なんですね。
では、住宅金融支援機構とはなんでしょうか?住宅金融支援機構とは、住宅金融市場における安定的な資金供給を支援し、住生活向上への貢献をめざす独立行政法人機関です。(旧住宅金融公庫の業務を継承)
楽天銀行住宅ローンピックアップFAQ より
民間金融機関と提携して、全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」を提供し、省エネ住宅などの良質住宅の普及を推進しています。旧住宅金融公庫の業務を継承とあります。住宅金融支援機構は小泉政権の時代に廃止された住宅金融公庫の業務を引き継いでできたという歴史があります。
つまり、それぞれの銀行が貸す住宅ローンとは異なり、独立行政法人(国)と金融機関が提携しているローンである。そのため、次に説明する「全期間固定金利型住宅ローン」という金融機関的にリスクのある金利タイプによるローンが成立するのです。では次に、「全期間固定金利型住宅ローン」とはどういう特徴があるのかみてみましょう。
3.ローンの金利タイプ
…グラフ
特徴
「全期間固定金利」
金利が全期間一定
◯ 市場の金利が上がっても、金利が全期間変わらない。
× 変動型や短期の固定金利期間選択型に比べて金利が高め。「固定金利期間選択」
自分が選んだ一定期間、金利が一定
◯ -
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虫展 −デザインのお手本− @21_21 DESIGN SIGHTレビュー
21_21 DESIGN SIGHTで開催されている虫展−デザインのお手本−展に行ってきました。(最終日に行ったのでこの記事を書いている時には展覧会は終わっていますが、記録とレビューのために書いていきます。)
Information
会期 :2019年7月19日(金) – 11月4日(月・祝)
http://www.2121designsight.jp/program/insects/
会場 :21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
休館日 :火曜日(10月22日は開館)
開館時間 :10:00 – 19:00(入場は18:30まで)
入館料 :一般 1,200円、大学生 800円、高校生 500円、中学生以下無料
展覧会ディレクター:佐藤 卓
企画監修
養老孟司所要時間は90分くらい。
自然について
虫について理解を深める展示から、虫の研究を応用したデザインの展示まで、虫とデザインをつなげるとても楽しく学びのある展覧会でした!
展覧会の最初にある企画説明にも書いてありましたが、確かに子供の頃は夢中になって虫を捕まえていたが、いつの日か生活の中から排除する対象となっていました。
ここで、人間-対-自然という対立構造を持ち出すことは簡単ですが、私は自然という考え方は人間という種を他から独立させ、その他を支配するための道具として生まれたのだと思っています。昔は人間も自然の一部でしたが、今の我々の生活で直接自然を感じられるものはとても少なくなっています。感じられたとしても、人間にとって好ましいものだけがフィルターを通して得られる程度でしょうか。この排除はおそらく近代の死を生活から排除する流れと同じように感じます。このあたりを調べてみるのもおもしろいかもしれません。
しかし、一見、排除されているようにみえても、虫がデザインなどを通して我々の生活の中に入り込んでいるという見方もできておもしろいです!トビケラの巣
今回の展覧会で特に気になったのがトビケラの巣の展示です!
トビゲラはチョウやガに近い昆虫で、幼虫は水の中で、付近の落ち葉・枝・砂・小石などで巣を作る、水中のミノムシとのこと。
小檜山賢二氏作品キャプションより …トビケラの巣